カップル喫茶で
ある金曜の夜、幸美を誘いカップル喫茶へ行った。
その店は都心のオフィス街の一角にあるマンションの一室だった。
僕は予約を入れていたので、インターホンで名前を告げるとマンションの入り口のロックが解除され、エレベーターに乗りある部屋へ向かった。
幸美はカップル喫茶がどういう所かハッキリとは知らなかったので、今日会ったときから緊張しているようだった。
僕の左腕を両手で掴んだままぴったりと寄り添ってくる。
「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ、幸美。」
僕は笑いながら幸美に話かけた。
幸美はこくりとうなずいたものの、言葉数も少なくなっていた。
店の中は一見どこにでもありそうなパブのようになっていた。
カウンターとソファ席、その他に丸テーブルのある座席がいくつかあった。
僕たちはまずカウンター席に案内され、簡単な入会書にサインをして店のシステムや注意事項を聞かされた。
店の奥には薄いカーテンで仕切られた部屋がふたつあり、その部屋でお客たちが様々なプレーを楽しむようになっていた。
部屋の片隅には女性用のコスプレの衣装が置いてあり、自由に着用して構わないと店員から案内された。
僕らは丸テーブルのある席に移り、飲み物をオーダーした。
幸美は落ち着かない様子であたりを眺めていた。
店にはカップルが二組と単独の男性が数人いた。
カップルたちは何度もこの店に来ているかのようで、一人の女性はセーラー服もう一人の女性は体が透ける薄いネグリジェのようなものをまとっていた。
二人ともはしゃいだ様子で彼氏と雑談をしていた。
『ねぇ、なんだか怖くなってきちゃった。』
幸美は今にも泣き出しそうな顔で僕を見た。
「幸美がいやがることはしないし、僕だって初めてなんだから、まずはゆっくりどんなところなのか見学しようよ。」
僕は幸美の肩を抱き髪の毛を撫でた。
僕の手を握った幸美の手は冷たくなっていた。
ほどなくして、一組のカップルがカーテンの中に入って行った。
すぐに女性の官能的なうめき声が聞こえてきた。
それに刺激を受けたのか、もう一組のカップルも同じ部屋へ入った。
単独の男性たちはカーテンの向こうの様子を伺っているようだった。
幸美は驚きを隠せないようだったが、ここにきてやっとカップル喫茶がどんな所かわかってきたようだった。
暫くして、僕はコスプレ用の衣装がある部屋に幸美を誘った。
そこには様々な制服をはじめ、数種類の服が並んでいた。
「幸美もどれか着てみせてよ。」
『イヤよ』
「じゃあいきなり裸になる?」
僕は少しいじわるをして幸美をからかった。
(続く)
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